富士ハウス破産 建築主保護は

破産した富士ハウスのロゴ
破産した富士ハウスのロゴマーク

東海地区の中堅ハウスメーカー「富士ハウス」が自己破産を申請しました。不動産不況や金融不安が破産の原因といわれますが、富士ハウスの責任は免れません。
今回のハウスメーカー破産で改めて施主(建築主)の弱い立場がクローズアップしています。ハウスメーカーを選ぶ時「住宅完成保証」制度に加入しているかのチェックも重要かもしれません。

ハウスメーカー破産に対する自衛策は


富士ハウス破産は寝耳に水

東海地区では名の知れたハウスメーカー「富士ハウス」が自己破産を申請したのはまさに寝耳に水。そんな驚きや不安の声がネット上の掲示板やSNSにも寄せられました。「富士ハウス破産」を振り返ります。

富士ハウス破産の状況
負債 総額約638億円
建築中物件 800戸
未着工物件 1300戸
破産管財人 松田耕治

富士ハウスは資本金1億5千万円、2007年度売上高が418億円、年間受け渡し約1,500戸の中堅ハウスメーカーです。(参照:富士ハウス評価

不動産市況が悪化しているとは言っても、販売状況を見ると破綻に至るようには見えません。ところが、破綻に至った2009年1月に監査法人から2008年3月期決算の修正を要求され、営業赤字を9億円から43億円に修正しています。富士ハウスが破綻に至ったのはこのような不明朗会計(粉飾決算)などが原因との噂もあります。
(参照:富士ハウス破産:監査法人から修正要求 08年3月期、債務超過に - 毎日.jp

気になるのは、富士ハウスで現在建築中や手付け金を払った未着工物件の対応です。一般に民事再生法や会社更生の場合は、会社自体は存続するので、ハウスメーカーとの契約は履行されます。しかし、破産すると富士ハウス自体が存続しないため、管財人による資産配分に任されることになります。

富士ハウスHPで公表された、同社の契約者への対応は次の通り

富士ハウス建築物件の扱い

平成21年2月28日までに完成し、引渡可能な予定物件
破産管財人の下で富士ハウスにて建築工事を続行し、顧客へ引き渡す。
この場合、顧客は建築請負契約に基づき請負残代金を支払う。
工事が既に着工している、平成21年3月1日以降の完成予定物件
富士ハウスにて建築工事を続行することはできないが、スポンサー会社にて建築工事を続行する予定。顧客には追加の資金負担が生ずる可能性がある。
工事未着工の物件
富士ハウスで建築工事の続行は困難、スポンサー会社にて工事を行う予定。 前受金等の取り扱いについては、300万円以下の契約金は前受金等を財団債権として破産手続内で返還見込み、300万円を超える部分は後日返還の扱いについて提案。
(参照:富士ハウス 顧客の皆様へ現状に関するご説明

上記発表内容によると、工事途中の物件や未着工物件はスポンサー会社によって工事が続行されるようです。しかし、顧客は追加費用を求められることになりそうです。さらに、既存の富士ハウス住宅に住むユーザーもアフターサービスが受けられなくなるなどの影響があります。

<住宅完成保証>加入チェック

完成保証、住宅瑕疵担保責任保険

富士ハウスの破産で、注文住宅の注文主(顧客)の立場の弱さが改めて心配されています。富士ハウスの場合は、上記「富士ハウス建築物件の扱い」のように、富士ハウスに代わるスポンサー会社が工事を続行することになりましたが、追加費用の発生は免れません。最悪の場合は、手付金と中間金を払ったのに家は完成できず、払ったお金もほとんど返ってこないということもあります。
そこで注目されているのが、工務店やハウスメーカーが破綻した場合注文主を保護する「住宅完成保証」という保険制度です。
ただし、住宅メーカーには「完成保証」に加入する義務はなく、富士ハウスもこの制度には加入していませんでした。
住宅の「完成保証」を扱っているのは複数の組織があります。主に中小工務店やビルダーが加入している組織を紹介します。

住宅の完成保証を提供する組織
組織名 保証名称 保険料 その他
財団法人
住宅保証機構
住宅完成保証
制度
5万2千円
(2000万物件)
請負代金によって
保険料は変わる
株式会社
住宅あんしん
保証
完成保証 5万円
(一律)
保証の上限は
1100万円または
請負金額×30%
(参照:新築したり増改築するなら知っておくべき「完成保証」とは何か?-gigazine)

住宅の「完成保証」に加入しているかどうかは、住宅メーカーに確認する必要があります。大手ハウスメーカーでは独自に完成保証のような制度を運用している場合があります。
2009年10月からは「住宅瑕疵担保責任保険」の加入が義務づけられます。この保険には「構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分で10年間の疵担保責任」があります。
弱い立場の施主(建築主)を保護する「完成保証」と「住宅瑕疵担保責任保険」の両方に加入することがこれからのハウスメーカーの責務になりそうです。


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