樹脂サッシ耐火性能偽装問題
また耐火偽装製品が発覚しました。住宅の省エネ対策に有効と言われる断熱性能の高い窓枠「樹脂サッシ」に耐火偽装があったのです。建築業界の掩蔽(いんぺい)体質は根が深いようです。
樹脂サッシ耐火性能偽装とは

耐火偽装したエクセルシャノン社の樹脂サッシの構造図
2007年10月に発覚したニチアスによる建材の耐火性能偽装が記憶に新しいです。
(参照:ニチアスの耐火性能偽装問題)
今回発覚した耐火性能偽装は、主に省エネ住宅で採用される断熱性能が高い窓枠「樹脂サッシ」の主力メーカー5社で起こりました。
耐火偽装の方法は国土交通相の認定を受ける時に使う試験体と実際の製品が異なり、試験体には耐火性能を高める細工をしていました(上図:「耐火偽装したエクセルシャノン社の樹脂サッシの構造図」参照)。
国土交通相の認定では準遮炎性能として、炎にさらされても20分間延焼を防ぐ性能が求められますが、偽装樹脂サッシでは13分程度の性能しかないといいます。
樹脂サッシの試験体を主に製作したエクセルシャノンの偽装発生の経緯を次の表にまとめました。
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耐火偽装が発覚したエクセルシャノンのホームページ
樹脂サッシメーカーはたくさんあるようですが、耐火偽装が発覚したエクセルシャノンを中心に製品グループが出来ているようです。今回の耐火偽装に関わった樹脂サッシメーカーは下記5社です。
樹脂サッシ耐火性能偽装に関わる5社と関連棟数
- エクセルシャノン -4100棟
- 三協立山アルミ -750棟
- 新日軽 -90棟
- PSJ(上記3社の合弁会社) -4棟
- H.R.D.singapore(シンガポール)-530棟
耐火偽装が発覚した樹脂サッシメーカーには、ニチアスによる耐火偽装問題発覚時(2007年10月)に国土交通省が住宅建材メーカーに対して調査を行っていました。国土交通省の調査といっても、メーカーに対して質問状を送付しただけのようで、実質抜け穴だらけというのが今回も露呈しました。
偽装樹脂サッシ建材使用ハウスメーカー
エクセルシャノンなど関連5社が製造した耐火偽装樹脂サッシは、北海道や東北を中心に約5500棟で使われています。主に戸建て住宅の窓に使われていますが、一部は東京や大阪のマンション、ホテルにも使われているとのことです。
樹脂サッシはアルミサッシよりも断熱性能が高く、複層ガラスなどと組み合わせて省エネ住宅を供給するハウスメーカーに積極的に採用されています。
(参照:窓の省エネ対策(塩ビサッシと複層ガラス))
問題の樹脂サッシを採用していたハウスメーカーは、被害者とも言えますが、顧客に住宅を供給した最終責任があります。今回の偽装問題でも、該当住宅については誠実な対応が求められます。
自社のホームページなどで、偽装樹脂サッシを使用していることを公表しているハウスメーカーは次の通り
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大手ハウスメーカー以外に中小ビルダーや工務店が問題の樹脂サッシを使っている場合もあります。特に北海道や東北の寒冷地で樹脂サッシが使われている住宅は、ご自分で該当製品かどうか確認された方が良いでしょう。
確認方法は、まず編み入りガラスであること、次に製造年月日が1995年7月1日から2008年12月25日であることを調べます(上図:「エクセルシャノン社耐火偽装樹脂サッシの見分け方」参照)。