エコ住宅比較 省エネ設備の功罪
政府の環境対応型住宅への補助金制度や住宅ローン金利の優遇を当て込んで、各ハウスメーカーはエコ住宅販売を活発化しています。
エコ住宅(省エネ型住宅)といっても、各社取り組みは一様ではありません。最新のエコ住宅フラグシップモデルを紹介しながら、それらの住宅モデルで利用されている創エネ、省エネ技術を解説します。
メーカー別 最新エコ住宅一覧

金融危機や住宅バブルの崩壊で販売戸数の減少に苦しむハウスメーカー各社は、住宅販売上昇の切り札としてエコ住宅を全面に打ち出しています。
ここでは、売り上げ上位住宅メーカーを中心に最新のエコ住宅を紹介します。各社坪単価を抑えながら「太陽光発電システム」を標準装備したり、「高断熱」「低消費電力」を実現する省エネ技術を積極的に取り入れています。各社エコ住宅フラグシップモデルの特徴を含めて一覧にまとめました。
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上の表にある創エネ、省エネ最新技術を「創エネ(発電)設備紹介」「省エネ設備紹介」で解説しています。
エコ住宅モデル標準仕様の詳細は各ハウスメーカーにお問い合わせください。
創エネ(発電)設備紹介

「創エネ」とは電気や熱など生活に必要な「エネルギー」を自前で作ってしまう設備のことです。実用化されている「創エネ」設備として、「太陽光発電システム」と「エネファーム」があります。
どちらのシステムも地球環境に優しく、エネルギーを作るのにCO2(二酸化炭素)をほとんど排出しません。ただし、導入コストが高く経済的には二の足を踏む施主が多かったのですが、政府による補助金や余剰電力買い取り制度の導入で徐々に「創エネ」システムを導入する建て主が増えています。
- 太陽光発電システム
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太陽光発電システムは太陽の光を直接電気に変換し、自宅用電力として利用できるほか、余った電力を電力会社に売って、光熱費の節約に役立つ創エネルギーシステムです。太陽光発電システムは、発電するときにCO2(二酸化炭素)を排出しないので省エネはもちろん、地球温暖化防止にも役立ちます。
太陽光発電システムは、一般的な戸建て住宅用の4kwシステムで導入コストが200万円程度と言われています。太陽光発電システムを導入することで削減できる電力料金から考えると、導入コストをペイするのに約20年もかかり、普及の妨げとなっていました。そこで、政府や地方自治体によるによる補助金制度や余剰電力買い取り価格を引き上げる制度が整備され、太陽光発電システムを導入する施主が増えています。
(参照:太陽光発電) - エネファーム(燃料電池)
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エネファームとは家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの愛称です。エネファームは都市ガスやLPガス、灯油などから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて電気と熱を作ります。太陽光発電システムは、電気だけを作るのに対し、エネファームは電気と給湯を賄える創エネシステムです。
エネファームは初期コストが350万円程度かかり、補助金を差し引いても導入には約200万円は必要で、初期投資額を回収するのに20年程度かかると考えられます。
(参照:ENE・FARM エネファームの紹介)
太陽光発電システムやエネファームは初期導入コストが高額なことだけでなく、メンテナンスコストも必要なことを認識する必要があります。太陽光発電システムは、数年ごとにメンテナンスしないと性能が落ちたり、パネルの故障を見逃していることも少なくありません。家庭用は義務化されていませんが、利用者は導入時に何らかのメンテナンス契約をすべきです。
省エネ設備紹介
家庭でのエネルギー消費を少なくするには、「冷暖房」「給湯」「照明」など住宅に関わる設備に省エネ型を導入することが効果的です。しかし、最新省エネ設備はメンテナンスや使用法など住む人が理解しないと性能を発揮できないものもあります。ハウスメーカーが提案する省エネ設備のメリット・デメリットを理解しておきましょう。
- 断熱性能の高い壁や屋根
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エコ住宅の基本は断熱性能の高さです。断熱性能が高いと外気温の変化を受けにくくなり、暖房や冷房の効率が良くなり冷暖房に費やすエネルギー(ランニングコスト)を削減する効果もあります。住宅の断熱性能を表す指標「Q値(熱損失係数、単位はW/㎡k)」を明示するハウスメーカーもあります。Q値が小さい方が熱が逃げにくく、断熱性能が高い住宅といえます。
(参照:高気密・高断熱住宅) - 樹脂サッシと複層ガラス
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住宅の熱が逃げやすい部分は、開口部である窓や扉です。壁や屋根を断熱構造にしても、窓や扉から熱が逃げてしまうと家全体の断熱性能が落ちてしまいます。エコ住宅では、樹脂サッシや複層ガラス(Low-Eガラス)を採用した窓や断熱性能の高い扉を用いるハウスメーカーが多いです。
(参照:窓の省エネ対策)
- エコキュートやエコジョーズ(高効率給湯器)
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家庭で消費するエネルギーは地域によっては冷暖房よりも給湯の方が大きな割合を占めています。空気中の熱エネルギーも利用するエコキュート、廃熱を利用し95%という熱効率を実現したガス給湯器エコジョーズ、どちらも消費エネルギーの無駄を少なくし、CO2削減に貢献します。
(参照:エコキュート)
- 熱交換型換気システム
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建築基準法改正で全室に24時間換気装置の設置が義務づけられています。シックハウス対策として換気することはいいのですが、外気をそのまま取り入れると冷暖房によるエネルギーが逃げてしまい、せっかく断熱性能を高めても熱(エネルギー)が無駄になってしまいます。熱交換型換気システムは、外気を取り入れながら、熱エネルギーをできるだけ逃がさない換気装置です。中には24時間換気システムと冷暖房を組み合わせた空調システムを用意しているエコ住宅モデルもあります。
上記以外にも「床下蓄熱暖房」「地中熱利用」「オール電化」「LED照明」など各ハウスメーカーは、競うように最新の省エネ技術を自社エコ住宅に採用しています。これら最新省エネ設備は太陽光発電システムと同じように、初期導入コストの高さ、メンテナンス体制の不備など、懸念事項があることもお忘れなく。